ネットワークと、そこにあるものを知る
最初の疑問は、単に「今どこにいるか」であることが多いものです。どのネットワークにつながり、デバイスにどのアドレスが割り当てられ、どのルーターを通っているか。Linkalyst の「検出」は、ネットワーク名、このデバイスのアドレス、サブネット、ゲートウェイをひと目で示します。「サービスを検索」は Bonjour のアナウンスを受信し、プリンタ、ファイル共有、Web や SSH でログインできるデバイスなどを一覧にします。
デバイスそのものを見るには、デバイススキャン(「このネットワークをスキャン」、Linkalyst Plus)が現在のサブネットを最大 256 アドレスまで調べます。Ping と TCP 接続に Bonjour、UPnP、NetBIOS、逆引き DNS を組み合わせ、各アドレスに名前と、分かる場合はメーカーとモデルを表示します。iOS 27 以降では MAC アドレスも表示できます。iOS がローカルネットワークの許可を一度求めます。許可しなければ何も送信しません。
スキャンはその時点のスナップショットです。スリープ中のデバイスやプローブに応答しないデバイスは表示されません。また、スマートフォンやパソコンは通常プライベート Wi-Fi アドレスを使うため、アドレスからメーカーを調べることはできません。
ホストが応答するか、安定しているかを確かめる
Ping が最古のネットワークツールとして使われ続けているのには理由があります。相手が応答するかどうかと、応答にかかる時間が分かるからです。ただ、1 回の応答ではほとんど何も分かりません。役に立つのは数百回続けた結果です。普段は速くても時々止まる接続は、使っていると遅く感じます。
遅延テストは Ping を送り(デフォルトは 0.5 秒間隔で 240 回)、すべての応答をリアルタイムのグラフに描きます。典型的な遅延(P50)、遅めのリクエスト(P95 と P99)、ジッター、タイムアウトを示し、タイムアウトは遅延の値として描かずタイムアウトとして数えます。Linkalyst Plus があれば、ルーターと公開サーバーなど最大 6 つのターゲットを同時に測ったり、自分で動かすテストピアに UDP で測ったりできます。
遅延がどこから来るかを突き止める
何かが遅いとき、次の疑問はどこが遅いかです。経路トレースはホップ数の上限を少しずつ増やしながらプローブを送り、IPv4 または IPv6 で最大 30 ホップまで、途中の各ルーターの遅延をグラフにします。オプションのホスト名と IP 情報の照会で、各ホップがどのネットワークに属し、おおよそどこにあるかが分かります。
特定のサイトだけが遅い場合、Web サイトチェックは 1 秒間隔で 5 回リクエストを送り、それぞれを DNS、TCP、TLS、最初のバイトまでの時間に分けてウォーターフォールで示します。HTTP のバージョン、TLS のバージョン、証明書チェーンも表示し、リダイレクトはホップごとに記録します。前の段階が速いのに最初のバイトまでが長いなら、たいていはネットワークではなくサーバー側が原因です。Wi-Fi はつながっているのに、Web ページが遅いでは、これらのツールを組み合わせて順に調べる方法を説明しています。
名前を解決し、リゾルバを比べる
新しいサイトを開くたびに、まず DNS の照会があります。答えが遅かったり間違っていたりすると、その後のすべてが止まります。DNS ツールは、アドレスだけでなくレコードそのものを示すべきです。DNS ルックアップは、A、AAAA、CNAME、MX、TXT、NS、SOA、PTR の各レコードを TTL とともに照会します。システムの DNS か、選んだリゾルバを使い、UDP、TCP、DNS over HTTPS(DoH)、DNS over TLS(DoT)で問い合わせます。
Linkalyst Plus があれば、「比較」で同じ照会をシステムの DNS と最大 4 つのリゾルバに同時に送り、どれが最も速く答えたか、答えがどこで異なるかを示します。照会はアプリ内だけで行われ、デバイスの DNS 設定は変わりません。結果の読み方は iPhone で DNS サーバーの結果を比較するで説明しています。
サービスにつながるかを確かめる
デバイスが Ping に応答しても、必要なサービスが閉じていることがあります。逆に Ping には応答しなくても、サービスは動いていることもあります。ポートチェックは、そのポートに TCP 接続を開いて確かめます。ポートチェックは 1 回、または最大 50 回続けて接続でき、Linkalyst Plus の「一括スキャン」ではポートのプリセットや自分で決めた範囲で最大 256 アドレスを調べます。開くのは TCP 接続だけで、データは送らず、サービスも識別しません。自分が所有するか、テストを許可されたシステムだけに使ってください。
インターネット全体の様子をすばやく見るには、主要サービスが動画、SNS、ゲーム、仕事とクラウドなど、よく知られたサービスのグループへの接続時間をまとめて測り、時間順に並べます。速いサービスの中で 1 つだけ遅いならそのサービスが、グループ全体が遅いなら自分の回線が疑わしいと言えます。
速度を測る。どの速度かを知ったうえで
「速度」にはいくつかの意味があり、次のツールはそれぞれ 1 つを測ります。
- インターネット速度テストは、Linkalyst 独自のネットワークで最寄りのテストサーバーまでのダウンロード、アップロード、遅延を、複数の接続を使って各方向最大 10 秒測ります。インターネット回線を測るならこれを使います。
- ダウンロードテストは、入力したアドレスからファイルを最大 64 MiB または 10 秒までダウンロードし、最初のバイトまでの時間と、その 1 台のサーバーからの速度を示します。
- スループットテストは、自分のネットワーク上のテストピアと 1 本の TCP 接続でデータを送受信します。iPhone とパソコンの間、たとえば Wi-Fi をはさんだ 1 本の接続でどれだけ出るかが分かります。プロバイダの契約速度ではありません。
2 つの数値が食い違っても、どちらも正しいことがよくあります。測っている経路が違うからです。「スループットテスト」の結果はインターネットの速度かも参照してください。
自分のデバイスとアドレスを知る
デバイスそのものについての疑問もあります。「このデバイス」は、バッテリー、充電状態、低電力モード、熱状態、ストレージとメモリ、各インターフェイスのアドレス、システムの DNS サーバー、デバイスからインターネットまでの経路を示し、省データモードや VPN の可能性なども表示します。「ネットワーク情報」では Wi-Fi のネットワーク名とアクセスポイントも分かります。iOS がこの 2 つを渡すのは位置情報の許可がある場合だけです。
サブネット計算は、アドレスとプレフィックスからネットワークを求めます。IPv4 と IPv6 に対応し、ネットワークアドレスと最後のアドレス、マスク、アドレス数、IPv4 では利用可能な範囲とブロードキャストアドレスを示します。別のアドレスがその範囲に入るかどうかも確かめられます。
どの iPhone アプリにも表示できないもの
iOS がアプリに与える権限はコンピュータより限られています。どのアプリを使っても、iPhone と iPad では次の情報は得られません。
- Wi-Fi の電波強度、チャンネル、ノイズ、リンク速度と、近くのネットワークの一覧。チャンネルのグラフを描く Wi-Fi アナライザにはコンピュータが必要です。
- パケットキャプチャや、ほかのアプリの通信の取得。
- SYN スキャンや OS の識別など、生のパケットが必要なスキャン。
- バックグラウンドでネットワークを常時監視し、新しいデバイスを知らせること。
- iOS 27 より前の MAC アドレスと、プライベート Wi-Fi アドレスから調べたメーカー。
- バッテリーの状態と充放電回数、度数で表した CPU 温度、通信事業者名。
iOS が許していることで、日常的な疑問のほとんどには答えられます。上の各セクションがその例です。
十数個のアプリの代わりに、1 つのツールキット
こうした作業ごとに別々のアプリを入れる必要はありません。Linkalyst は 12 のツールを iPhone と iPad 用の 1 つのアプリにまとめ、上と同じように分類しています。検出と主要サービス、遅延テスト・DNS ルックアップ・ポートチェック・経路トレース・Web サイトチェック、インターネット速度テスト・ダウンロードテスト・スループットテスト、このデバイスとサブネット計算です。あるツールのターゲットを別のツールに入力でき、測定結果はレポートとして保存され、検索、タグ付け、絞り込みができます。
Linkalyst は無料でダウンロードでき、iOS または iPadOS 17.0 以降が必要です。アプリとこのサイトは 6 言語に対応しています。買い切りの Linkalyst Plus で、デバイススキャン、一括スキャン、リゾルバの比較、複数ターゲットと UDP の遅延テスト、レポートの比較などが加わり、広告がなくなります。
よくある質問
iPhone アプリで Wi-Fi の電波強度やチャンネルを表示できますか?
できません。iOS は通常のアプリに、接続中の Wi-Fi の電波強度、チャンネル、ノイズや、近くのネットワークの一覧を渡しません。Linkalyst は位置情報の許可があればネットワーク名とアクセスポイントを表示し、接続の実際の振る舞い、つまり遅延、タイムアウト、スループットを測ります。
iPhone で使える Nmap はありますか?
完全な意味ではありません。SYN スキャンや OS の識別には生のパケットが必要で、iOS はアプリにその送信を許していません。TCP 接続によるチェックはでき、ポートチェックとその一括スキャンはこの方法を使います。「検出」のデバイススキャンは、サブネット内で応答したデバイスを一覧にします。
Linkalyst のどのツールが無料ですか?
インターネット速度テストを含め、12 のツールすべてを無料で使えます。Linkalyst Plus で一部のツールの機能が加わります。「検出」のデバイススキャン、ポートチェックの一括スキャン、DNS ルックアップのリゾルバ比較、複数ターゲットまたは UDP の遅延テストです。Linkalyst Plus の内容を参照してください。
コンピュータが必要なツールはありますか?
スループットテストと UDP の遅延テストだけです。この 2 つは、自分のネットワーク上のコンピュータで動かす小さなテストピアを相手に測ります。そのほかは iPhone か iPad だけで使えます。